ストラクチュア

アーリーアメリカン・スタイルの小学校

兵庫県西宮市立今津小学校六角堂

ST003 Web#=123 掲載2009/10/1

昨日(2009/10/1)の午後、所要で西宮市の南部、酒蔵通りを車で通っていると西宮市立今津小学校の正門隣に素敵なアーリーアメリカン様式の建物を見つけました。通称は今津六角堂で1882年に当時の今津村、津門村の寄付によって、この地(現在の西宮市今津二葉町4-10)に建設された小学校の校舎です。

西洋式の小学校建築としては長野県松本市の開智学校についで全国で2番目に古い建物です。周辺は造り酒屋が軒を連ねる裕福な街で、当時の今津津門村の年間予算額に相当する建設費用が地域の寄付によって賄われました。

建物の裏側から六角堂を眺めてみると、アメリカ開拓時代の実用的でシンプルな建築の持つ魅力が伝わってきます。私にとっては裏側から眺めた方が、よりすっきりして好ましく思われます。

アーリーアメリカン様式の特徴が揃っています。つまり下見板張り(サイディング張り)の外壁、太い窓枠、浅い軒、建物の平面が単純な長方形、明るい塗装の壁面と暗い色の窓枠。地方の中小私鉄の本社棟にけっこう良く見られる建築様式でしょう。

写真のように正面玄関上の六角形の塔屋が印象的で、新築当初は当時の人々の目を驚かしたことと思います。小学校の敷地内で校舎建替などのために何度か移築されていますし、用途も小学校校舎、今津公民館、今津幼稚園と変遷を重ねています。現在はご覧のように建築当時の場所に移され復元工事が行われて、きれいになって公開されています。